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2009/08/09 (Sun) かばん2008年6月号 4/5

【はじめに】
独断に基づいて選んだ、好きな歌を批評します。
原則、冊子の状態に従います。
そののちに退会した会員の方の作品も、(当時の)会員作品として扱います。
改名された方も当時の名前で掲載させていただきます。
誤字脱字があった場合は、コメントでご一報くださると非常に助かります。
敬称は省略させていただきます。


16.
寺町のお花やさんのお二階の碁盤の目という名の美容院
                      (碁盤の目:カドリエ)
                    イソカツミ 「quadrille」より
リズムのテンポが美しい歌であると思う。「お」の繰り返しがすごく滑らかだ。
視点の流れも、広い所(寺町)からフォーカス(お花やさん)して上(お二階)にのぼっていくというもので、非常にリズムに似つかわしくて躍動感があるように感じる。
また、「お」の繰り返し、「寺町」や「碁盤の目」という言葉から自然と京都を連想させているように感じる。
とくに「お」を連ねる技巧は非常に自然であり、あざとさを感じさせない。


17.
舌を噛む素振りを見せて世界には天使が入り込みすぎている
                  本多忠義 「耐えうる両手」より
「世界には天使が入り込みすぎている」という言葉が、印象に残る。
平和の中にある毒であったり、非現実な言い切りがドラマティックである。


18.
犬は鎖につなぐべからず きょうの日も芝居の雪が紙だった日も
                     杉山モナミ 「芝居の雪」より
正直誰も前半・後半のつながりなんて分からないのではないのだろうか。少なくとも私は全く分からない。
けれど、その分からなさが鼻につかない歌である。「芝居の雪が紙」という偽物の存在が、全体の不安定さを良い意味で強めている気がする。
また、後半で提示されている時制はすべて過去なのも面白い。
作中主体の公開を含むつぶやきのようにも、どことなく思えてくる歌である。


19.
牛乳に透けるどん底やわらかくわたし、わたしの横顔をのむ
                  杉山モナミ 「芝居の雪」より
歌でも「やわらかく」と言われているけれど、「どん底」が非常にやわらかくて淀んでいる。牛乳の色合いの効果、ほとんど底が見えない状態を想起させる効果だからだろうか。
全体的に、牛乳の色の膜がかかった印象を受ける。そのせいか「横顔をのむ」行為が、じわじわと不気味さを与えてくる。断定の表現なので、ゆるぎなさも感じられてどことなく怖い。

20.
筆立てにつまだちながらかたむいているからかつて鋏は少女
                佐藤弓生 「こよなく美しい島」より
体言止めの鋭さと「鋏」がうまく相乗している。
一見、鋏=少年でもかまわなかったのではないかと思えなくもないが、「つまだちながらかたむいている」様は思春期の少女に似つかわしい仕草である。
観察眼の鋭さをうかがわせる歌であるように感じる。

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