--/--/-- (--) スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |


2009/08/08 (Sat) かばん2008年6月号 2/5

【はじめに】
独断に基づいて選んだ、好きな歌を批評します。
原則、冊子の状態に従います。
そののちに退会した会員の方の作品も、(当時の)会員作品として扱います。
改名された方も当時の名前で掲載させていただきます。
誤字脱字があった場合は、コメントでご一報くださると非常に助かります。
敬称は省略させていただきます。

6.
半分が優しさでできているひと代表ウエンツ瑛士を射殺
             白辺いづみ 「追いつきたい」より
はっきり言って現実でやってしまったなら大ごとになる歌である。
だけれど、フィクションという前提を感じさせるから不気味なイメージがない。むしろある種の爽快さすら感じさせる。言葉に曖昧さがないことと、人物に対する恨みを感じさせないこと、体言止めの強さが出ているからだろう。
またウエンツ瑛士という人物の選択も見事であると思う。彼の、どことなく非現実なキャラクターが歌をうまく盛り上げている気がする。


7.
フロイトとユングの違い説く友の首から生える一本のヒゲ
 天昵聰 「鉄塔の下、太陽の東(きりはりへりをり31.06Ver.)」より
漠然とした、リアルでない世界から現実へのフォーカスが生々しく、美しい。
一本のヒゲという二次性徴を想起させるモチーフも見事である。
「友」が完全な大人になりきれていないのに、大人の世界を知っているかのような口ぶりで哲学者たちを説く、未熟なもののもつ生意気さや気丈さをどこかに負わす光景である。
また、説くという動作から喉元(おそらく、あごと首の間のヒゲでないかと私は推測している)への視点の動きにも無理のない歌である。


8.
この世にはケーキもアイスもチョコもあるあなたがいなくたっておいしい
            有田里絵 「モルディブのビーズが出てきた」より
言いきりの歌なのに、「おいしい」のあとに「から」や「けど」を想像してしまうのは私だけだろうか。
どことなく作中主体の開き直りやあきらめを想像してしまう歌である。それが切ない。
また、「ケーキ」「アイス」「チョコ」といった甘いものと同じ場所に「あなた」が並べられている点も、作中主体との関係性を推測させる良い構成になっているように感じる。


9.
コイビトの冷蔵庫を開ければそこは喪が明けたような静けさ
        シイナエリノ 「妹のコイビト お宅訪問他」より
「喪が明けたような静けさ」は一見ありきたりな表現のようである。
が、冷蔵庫の情景と並べると恐ろしく噛み合う。
あの明かりの色合いや食物が静止して並ぶ情景は、まさに「喪が明けた」と言ってよいように感じられる。


10.
さくらから葉桜にうつる木の下にわが指定席と呼ぶベンチあり
                      杉崎恒夫 「指定席」より
言葉の移り変わりがなめらかである。そのなめらかさが、春の情景によく合わさっている。
ゆっくりと視点が下にうつっていく点も、桜が降るような感覚を読者に与えている。
また、「さくら」の平仮名表記はともすればあざとさが目立つが、この歌の中では前半に用いることでやわらかさを与えることに成功しているように感じられる。

スポンサーサイト

批評 | comment(0) |


<<かばん2008年6月号 3/5 | TOP | かばん2008年6月号 1/5>>

comment











管理人のみ閲覧OK


| TOP |

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。